2014-06-13

宮崎駿の書いた『千と千尋の神隠し』の幻のテーマ曲「あの日の川で」


『千と千尋の神隠し』の主題歌といえば、もちろん「いつも何度でも」です。しかしこの曲に決まる前には、宮崎駿監督が作詞し、久石譲氏が作曲した曲が主題歌になる予定でした。詳しくはこちら

今回は、そんな幻のテーマ曲(宮崎監督が久石氏にテーマ曲のイメージとして充てた詩)「あの日の川で」をご紹介します。



「あの日の川で」

陽のさす裏庭から 忘れていた木戸をぬけ

生け垣が影おとす道をいく
むこうから走って来る幼い子は わたし
ずぶぬれで泣きながらすれちがう
砂場の足跡をたどって もっと先へ
いまは 埋もれてしまった川まで

ゴミの間の水草が揺れている

あの小さな川で、私はあなたに出会った
わたしのクツがゆっくり流れていく
小さな渦にまかれて消える
心をおおうチリが晴れる
目をかくすくもりが消える
手は空気に触れ
足は地面のはずみを受けとめる
誰かのために生きている私
私のために生きてくれてた誰か

わたしは あの日 川へ行ったのだ

わたしは あなたの 川へ行ったのだ
『ロマンアルバム 千と千尋の神隠し』より


『千と千尋の神隠し』を観た方なら連想できるかと思いますが、この詩はハクへ向けた千尋の想いが綴られているような内容となっています。この後、宮崎監督は詩を完成させることができなかったため「いつも何度でも」が主題歌になったそうですが、これはこれで十分完成しているようにも思えます。


宮崎監督が久石氏にテーマ曲のイメージとして充てた「あの日の川で」ですが、この詩を元に作られた曲自体は完成しており、イメージアルバムに収録されている「あの日の川へ」がその曲のようです。またサントラには「あの日の川へ」とほぼ同曲の「あの日の川」があり、作中で印象的に使用されていました。


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